5. 大切なパートナーとの出会い(共同訓練)(現地訓練)
訓練が終了する段階では、候補犬の性格的要素や体格など、パートナーとなる視覚障害者が持っているニーズを照らし合わせ、マッチングを行います。
そしていよいよ盲導犬希望者と候補犬との共同訓練がはじまります。初めての方は訓練所に宿泊し、候補犬との共同生活を4週間送ります(2頭目以降は2週~3週間)。盲導犬と一緒に歩くための技術や知識を習得します。また犬の排泄や食事、グルーミングや基本的な健康管理も学んでいきます。犬と生活を共にするために必要な事項についてもトレーニングを行います。
そして何より共同訓練はお互いの信頼関係を築くための大切な時間となります。多くの方は「犬が好き」であっても、室内で犬と一緒に生活した経験を持っていません。盲導犬というと「歩く」というイメージが強いですが、「犬と一緒に生活し、犬を理解する」ことは非常に重要なことなのです。
宿泊での訓練が終了後に、パートナーが住んでいる地域で現地訓練を行います。その地域ではパートナーが歩くルート(通勤、スーパーマーケット、銀行、病院など)や電車、バスの交通機関の利用などを練習します。この現地訓練が終了した段階で、はじめて正式な『盲導犬利用者と盲導犬』が誕生することになり、二人三脚の生活が始まります。
6. 盲導犬として
盲導犬とユーザーは、自信と期待と少しの不安をもってスタートラインに立ちます。お互いに信頼しあい助け合いながら、約8年〜10年間ともに過ごします。
新しく誕生したこのペアは人間も犬も「初心者マーク」です。失敗もしますし、知らずに周囲に迷惑をかけてしまうことがあるかもしれません。盲導犬は持ったその日から自動的に動く機械ではありませんし、何でも理解し、どんなことでも耐えるスーパードッグでもありません。お互いが一緒に生活し、歩くことによって問題を解決し、理解を深め、少しずつお互いの信頼関係が築かれていきます。
ユーザーと盲導犬は常に行動を共にし、公共交通機関も利用して、公共施設や商業施設、スーパー、飲食店、病院など、様々な場所に出かけます。ユーザーの歩行を助け、休憩中はユーザーの足下で待機します。盲導犬利用者が暮らす地域で出会う皆さんのご理解とご協力が何より必要となります。それぞれの個性を尊重し、みんな同じように快適な生活を送れるような社会であることを望んでいます。